豆腐(TOFU)レポート

豆腐バカ 世界に挑む

豆腐バカ 世界に挑む

豆腐バカ 世界に挑む 」は、森永の社員、雲田康夫(くもだやすお)氏の半生記ともいうべき本です。

豆腐製造の話はあんまり出てきません(笑)
森永の豆腐は画期的な無菌パック製造なので、作るのはほとんど全自動なのだと思います。(知らんけど)
なんにせよ、そういう製法なので、10ヶ月持つという魔法の豆腐ではあります。

しかし「豆腐とワインには旅をさせるな 」(by 山岡士郎)という名言もあるくらいです。
感覚的に、日本人にとって豆腐が日持ちするという意識改革には結構な時間がかかるような気がします。
日本人は新鮮好きですし、
それより何より、流通も発達していて製造から販売まで冷蔵が行き届いた日本のマーケットで、何ヶ月も持つような豆腐を積極的に買う理由が見つかりません。

機会があったので食べてみましたが、そこそこ美味しい豆腐です。
(まぁ、うちの方が美味いと俺は思うけどね)
最近は森永だけでなく、さとの雪 からも同じような豆腐が販売されています。

しかしなぁ、どうでしょう?
燗番娘と同じで画期的ではあるけれども、設備投資の割には差別化が顕著で無い様に思います。
だいたい、あのパックは空けにくすぎる。

海外に販路を広げたのは、法律的制限があったからにしろ、妥当な選択だったと個人的には思います。
(中小企業の事業活動の機会の確保のための大企業者の事業活動の調整に関する法律)
うそか本当か確認が取れませんが、この法律は豆腐業界団体が森永のような大手が参入したら、中小企業がほとんどの豆腐業界が壊滅的危機に見舞われると懸念して、圧力をかけて国会を通したなどと言われています。
いやぁ、業界団体にそんなにまとまりがあるとは、僕には思えませんけど。

現在では、普通にコンビニなどで森永の豆腐が売られていますし、Amazonでも買える のですが、日本の豆腐業界が壊滅したなどという話は聞こえてきません。
うーん、ビジネスは簡単ではありませんね。

コカコーラ や、マクドナルド への道は、なかなかに難しいものなのです、きっと。

それにしても、アメリカで豆腐を売るというのはものすごい大変な事なのだと思います。

読んでみたらわかりますが、やたらとアメリカやアメリカ人の働き方に関するグチが多いです(笑)。
個人主義で、自分の責任を認めない人々。
仕事は半人前でも、休暇や主張だけは二人前以上。
気に入らなければすぐに裁判沙汰。

いやぁ、それはそれは大変でしょうね。

雲田さんの、豆腐にかける情熱と、営業の苦労が、とてもとても、とても、よく伝わってくる本です。

僕は「豆腐スムージー」などというモノを、この本で初めて知りました。

ビジネス書として、優れていると思います。
アメリカ赴任が決まったら、読んでみて損はないのではないかと思います。

しかし、零細豆腐屋が読んでも、参考にするところがあんまり無いのかなぁと思います。
製造設備に20億円も投資できる豆腐屋は、ほんのちょっとですよ。
毎日10万丁も出来上がったら、豆の仕入れにも売り先に困ります。

日本でだって私の知る限りでは、無菌パック製法は2社しか採用していません。
森永乳業は上場企業ですし、さとの雪は四国化工機という装置メーカーの子会社です。
四国化工機は牛乳パック充填装置で70%の国内シェアを持っているのだとか、
森永乳業の本業は牛乳屋ですし、なにか繋がりを感じずにはいられません。
多分、 同じような機械を使っているのではないでしょうか?

とりあえず、僕に20億円ものお金があったら、きっと 豆腐屋はしていない と思います(笑)

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